論文データバックアップの重要性
卒論・修論の執筆時期も佳境に入ってきました。定期的に学生に意識してほしい内容として、データの保存やバックアップがあります。この記事では、データバックアップの方法と、そのメリットについて触れたいと思います。
研究室内の学生に対しては、定期的にバックアップの重要性を述べています。
学生時代、教員時代の大学20年の経験です。
— Hiroshi Okajima (@control_eng_ch) 2024年1月11日
卒論、修論まぎわは、なぜか使用しているPCのハードディスクのデータが飛びます。 また、印刷機が故障して印刷できないこともあります。
従って、データはこまめにバックアップするべきです。一応、研究室の学生向けにアナウンスをしておきました。 pic.twitter.com/5xCSAZDuR0
卒論、修論の時期は、色々なトラブルに見舞われます。卒論や、修論は毎日少しづつ執筆したとして、トータル60ページとすると一日2ページでも1カ月執筆し続ける分量になります。
今、卒論や修論を書いている人は、毎日TexソースやWordファイルをUSBに保存するか、クラウドを利用したバックアップを行うようにしてください。万が一に生じる最悪ケースで何とか対応できるか、留年になるかはちょっとした心がけで変わってきます。 https://t.co/YZgovlKato
— Hiroshi Okajima (@control_eng_ch) 2024年1月11日
PCが壊れる、ハードディスクが壊れる、誤ってフォルダごと消してしまう等のトラブルは一定数生じます。システム制御工学研究室でも事例はあります。そのため、未然に防ぐ、もしくは、影響を最小限にとどめるためにバックアップを取りましょう。以下の2つの方法を同時に行うことをお勧めします。
- 同じPC内での文章のバックアップ
同じPC内で文章を更新するごとにバックアップを取ります。これは、毎日バックアップを取ることをお勧めします。Texの場合は「main.tex」のようなファイルで文章を作っている場合には、それをコピーして「main-bup20240111.tex」のように日付でバックアップを取ります。ファイル名を考える時間は勿体ないので、システマティックにバックアップを取れるようにしましょう。
このようなバックアップを取ることで、攻めた文章執筆が可能になるという副次的なメリットもあります。文章の順序や章構成を大幅に変えると、後から元の方が良かったと気づいた場合に啞然としますが、バックアップを取ればそのようなことはなくなります。特に卒論の場合は初めての長文の文章執筆になると思いますので、あらかじめ、どの章にどれだけの文章が書かれるかを予測することが難しく、当初定めた章構成のまま文章を進めていくと、いびつな章構成になりがちです。バックアップを取りながら進めることで、途中途中でドラスティックな改変を躊躇なくすることができます。
上記の同じPC内でのバックアップとは異なり、他のデバイスやクラウドなどに、卒論や修論のファイル一式や、少なくとも「main.tex」のような文章ファイルをバックアップすることも重要です。ハードが壊れた場合は、この手法を取ることで最悪の事態を防ぐことに繋がります。データが自動同期されるような部分でバックアップを取る場合は、片方が消えるともう一方も消去される危険もありますので、複数個所にバックアップを取るようにしてください。少なくとも3日に1回はバックアップを取るようにしましょう。
具体的な手法
クラウドに保存する場合は、googleドライブやDropboxなどが挙げられます。
Dropboxの無料ではストレージが多くはないですが、少なくとも卒論・修論をまとめるだけであれば無料版で十分役割を果たすと思います。
また、TeXで原稿を書く場合はCloud LaTeXとDropboxを連携して,2つのアプリでデータを取っておくというのも方法かと思います。
今の時期、色々と大変です。データの管理と共に、体調も管理して卒論や修論の発表に臨んでもらえれば幸いです。
自己紹介
岡島 寛 (熊本大学工学部情報電気工学科准教授)
制御工学の研究をしています。モデル誤差抑制補償器,状態推定,量子化制御など
研究室HP
岡島研究室(システム制御 control-theory.com)
制御動画ポータルサイト
制御工学チャンネル(伝達関数・状態方程式・MATLABなど)
電気動画ポータルサイト
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