この記事では重ね合わせの理,テブナンの定理,ノートンの定理についてまとめます。以下は重ね合わせの理,テブナンの定理,ノートンの定理についてまとめた動画は最下部にあります。
電気回路の諸定理について
重ね合わせの理
それでは重ね合わせの理について説明したいと思います。ひとつの回路の中に複数の電源がある場合の挙動について考えます。重ね合わせの理を使えば単純な1電源の回路の結果の足し算として、複数電源の回路の挙動を調べることができます。
重ね合わせの理の具体的な定義は以下の通りです。
- 多数の起電力を含む回路網の各点の電位又は電流の分布は、これらの起電力がそれぞれ単独に存在する場合の電位又は電流の和に等しい。
多数の起電力を含むような場合において、一つの点における電位もしくは電流の分布を調べる上で、それぞれでの電位もしくは、電流の分布を調べたものの和として表すことができるという点に利点があります。
具体的な演算のステップとしては、まず一つの電源を残しそれ以外を除去するという操作を最初に行います。具体的な除去の方法としては電圧源は短絡する、電流源は解放するといったプロセスを踏みます。そしてそれぞれ短絡、解放という形で一つの電源を残した回路について挙動を計算し別の電源を残しそれ以外を除去にしたものについてその点での状況を調べる。そのプロセスことをすべてにおいて繰り返し、そしてそれがすべての導出結果を合わせることによって、複数電源を含む回路における挙動を調べることができます。
この利点としては回路中に一つの電源しか含まれないようなものを考えるため電気回路の基礎的な内容としてキルヒホッフの法則やオームの法則などの延長線上の枠組みとして扱うことができ、計算の見通しが良いということが挙げられます。
そしてこの重ね合わせの理は信号の周波数が異なっていても成立ちますし、直流のみ交流のみだけでなく直流と交流についても重ね合わせの理が成り立つ、といった線形性が成り立ちます。以上まとめますと重ね合わせの理では、多数の起電力を含む回路網の各点の電位または電流の分布がこれらの起電力がそれぞれに存在する場合の電位又は電流の和に等しい、というそういう定理になります。計算のステップは以下のステップ1ステップ2を踏むいうことで計算できます。
重ね合わせの理の例題
それでは実際に例題を通して重ね合わせの理について説明をしていきたいと思います。ここでは次の2電源回路の例題を考えます。
具体的に電圧源と電流源が一つづつ含まれるようなケースを考えています。ここでの問題は重ね合わせの理により、電流 を求めよという問題です。
複数電源がありますのでこのままでは解くのが難しいです。そこでまず一つの電源を残し、それ以外の電源を除去するという操作をします。電圧源を短絡除去した回路を考えます。このとき、の電流はとなります。次に、電流源を開放除去すると、1(Ω)と2(Ω)の直列回路となるため、電流はとなります。
そして、これら2つの和によって流れる電流が以下のように求まります。
\begin{equation} i = i_1 + i_2 = -1 -5/3\end{equation}
結果、という解が得られます。
テブナンの定理
それではテブナンの定理について説明します。ここでは等価電源について考えます。みなさんが家庭用コンセントにPCをつなぐ場合、コンセントから先に電柱があるとか変圧器があるとか、発電所があるか、とかいったことは、特に意識せずに接続していると思います。このようにコンセントを挿す場合には等価電源があるものとして無意識に接続をしているということになります。これに関連してテブナンの定理についての説明をしたいと思います。テブナンの定理ではどんな回路であっても任意の2点から内部を見る場合、ある起電力と内部インピーダンスを持つ電源とみなすことができる、ということを指しています。
ここでは次の回路網1を考えます。
左の回路網1について電源をすべて殺した場合のインピーダンスを とします。そしてこの点aとbの解放した時の電圧の和をとったものをと置きます。電源を1つ残して他を殺した場合を回足し合わせることでが求まります。
点a, bからみて左と右の回路が等価になります。つまり、点a, bに同じものを接続すれば、接続したものにおける電圧・電流の分布は同じになります。
インピーダンスの素子を点a, bに接続した場合に、この回路に流れる電流 は以下の式で表すことができます。
\begin{equation} I = \frac{E}{Z+Z_0} \end{equation}
このことを等価電圧源とみなすとというインピーダンスを持ち、起電力がの等価電圧源として表現し直すことができます 。
テブナンの定理の例題は次の動画にあります。
以上でテブナンの定理の説明を終わりたいと思います。
ノートンの定理
それではノートンの定理について説明したいと思います。ノートンの定理は等価電流源の定理とも言い、テブナンの定理とよばれる等価電圧源の話と双対の関係にあるものです。ここでは回路網1について考えます。
この回路網1について、すべての電源を殺した場合のアドミタンスを とします。インピーダンスの逆数であり、です。そして各一つの電源を残して他の電源を殺した場合に、短絡した場合の短絡電流を考えます。その短絡電流のそれぞれの電源についての和をとします。この時、この回路にアドミタンス Yの素子を接続した際の電圧は、以下の式のように表されます。
\begin{equation} V = \frac{I}{Y_0 + Y} (= \frac{I}{1/{Z_0} + Y} ) \end{equation}
例えば、抵抗を接続したとき、点a, bの両端電圧は次のように求まります。
\begin{equation} V = \frac{I}{Y_0 + 1/R}\end{equation}
以上でノートンの定理の説明を終わります。
関連動画
以下は重ね合わせの理,テブナンの定理,ノートンの定理についてまとめた動画です。
以降では,それぞれの項目について触れていきたいと思います。
重ね合わせの理の動画
以下は,重ね合わせの理について説明した動画になります。
テブナンの定理の動画
以下は,テブナンの定理について説明した動画になります。
ノートンの定理の動画
以下は,ノートンの定理について説明した動画になります。
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